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財務業務⑦資金調達務(格付評価) [資金調達]

 一般企業の場合、社債、特に公募債で資金調達しようと考えた場合格付機関から格付を取得します。これは企業の主に社債発行において償還できるかどうかの安定性を図る指標として取得します。しかし、金融機関も資金の貸付先に対して格付を行っています。

 ①格付が良い → 選ばれる
 ②格付が悪い → 選ばれない

 一方、格付をしているのはお客様だけではありませんよね。経営上、避けて通れない銀行も格付を行っています。銀行の場合は債務者格付って言うこともあります。



銀行はなぜ格付をするんでしょう?


 もちろんビジネスだから、お金を貸す、貸さないを決めるため、貸すにしても利率を決めないといけないからなんですけど、もう一つ大きな理由としては、金融庁から「ちゃんと格付しろ!」って言われているからです。銀行はバブルの時に無茶苦茶な貸出をしていたので、ルールが厳格化されました。このルールを守らないと、最悪営業停止になるんです。この銀行が行っている格付のカラクリを知ることは、起業家にとってとても大切です。

その理由は・・・

 格付が良い → お金を借りることができる。しかもコストは安く
 格付け悪い → お金を借りることができない。借りることができてもコストが高い

 となります。

 それでは、銀行が行う格付のカラクリについて具体的にお話しましょう。



銀行も格付されている


 銀行が行う格付を知る上で、今の銀行がどのようなルールで仕事をしているのかを見ていきましょう。銀行はバブル期に無茶苦茶な貸付をしていたので、バブル崩壊後はたくさんの回収不能が発生し、結果として税金が投入され、九死に一生を得ました。

 その教訓から、銀行の健全な経営を確保するために、早期是正措置という制度が導入されました。簡単に言うと、身の丈に合った経営をしているかどうかを金融庁が定期的にチェックします。身の丈に合っていない度合いに応じて、イエローカードやレッドカード(営業停止)が出されます。

 銀行は銀行で金融庁からある意味格付けされているといえます。この格付けは、何を根拠に格付されているかというと「自己資本比率」です。ただ、この自己資本比率、一般の会社とは少し計算方法が違います。

 銀行の自己資本比率=自己資本÷貸付金  → 分母が貸付金になります。

 つまり、「貸付金というリスクのあるモノに対して、自分のお金はどの程度あるんですか?」っという概念に基づいて計算されるんです。このリスクを表す尺度が銀行が行う格付です。

 ちなみに、この格付(自己資本比率)が4%未満になると、銀行は営業停止になります。さらに、海外に支店を持っている銀行(メガバンクなど)はこの値が8%にハードルが上がります。



銀行は2つの格付に悩まされている


 先程のとおり、銀行には2つの格付が存在します。

 ①自分が行う格付

 ②自分がされる格付

 この2つの格付は複雑に絡み合っています。銀行はお金を貸すことが仕事です。利息=利益です。
 そのため貸付金は基本的には増やしたいと考えます。貸付金は自己資本比率の計算上、分母でしたね。無節操に増やしていけば、自己資本比率、すなわち銀行自身の格付が下がります。これはこれで問題です。

 関係を整理すると

 ①格付が高い企業への貸付→利息(利益)が少ない→自己資本が増えない(銀行自身の格付が上がらない)→でもお金は確実に回収できる

 ②格付が低い企業への貸付→利息(利益)が多い→自己資本が増える(銀行自身の格付が上がる)→でもお金が回収できない可能性がある

 となっており、銀行って正解がない問題に常に直面しているんです。



銀行はどうやって格付するの


 皆様の経営する企業、あるいは働いている企業は銀行はどうやって俺の会社を格付してるのでしょうか?

 基本は、みなさんが提出した決算書の財務分析です。この財務分析は銀行ごとにスコアリングモデルがあり、ほぼ機械的に行われています。自動的に財務分析しているので多くの企業はここに基づいて格付けされてしまいます。いわゆる定量的分析です。

 絶対知っておいてほしい内容について3つお話します。

 ①資産の含み損について

 例えば、A社はB/Sの自己資本が1000万円あるとします。これまでは利益もきっちり出しているとすれば、財務分析上、格付は高くなります。ただ、高値で買った土地に含み損、すなわち購入価格と現在価値に差があり、その価格が2000万円だとしたら、一気に1000万円の債務超過と判断されるんです。

 他にも回収不能になっている売掛金や減価償却不足なども含み損として銀行が判断する可能性があります。機械的に行う財務分析は格付に最も影響を与えるんですが、このような修正も銀行は必ず行います。

 ②定性情報について

 決算書から定量情報分析しますが、ただ、会社には決算書に表れない価値もありますよね。例えば、商品力や技術力、社長の人脈などです。知的資産と言ったりもしますが、これが定性情報です。
 この定性情報を用いた格付は金融庁も積極的に指導していて、銀行では融資担当者のいわゆる目利きを高めるべく、取り組んでいるようです。自社にはどのような定性情報(知的資産)があるのか、事前にまとめて金融機関との面談時に必ずプレゼンテーションを行うようにしましょう。

 ③節税

 起業家のみならず、経営者なら税金はできることなら安くしたいと思うのが当然でしょう。ただ、節税は利益を抑えて課税所得を小さくすることになるので、当然ながら決算書が悪くなり、格付が下がる可能性を含むという側面もあります。

 「節税によるメリット<格付悪化によるデメリット」とならないように注意が必要です。特に起業間もない会社は資本金も少なく、節税対策の結果が債務超過だと目も当てられません。格付は急降下です。起業後しばらくは、多少税金は払い、資本を厚くすることを優先すべきです。



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