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財務業務⑥資金調達(銀行の財務分析) [資金調達]

 企業と言っても、大企業に中小企業、さらには老舗企業に起業間もない企業などいろいろあります。ただ、全ての企業に共通しているのは、決算をしないといけないということです。



決算は1年の集大成、企業の通信簿です。


 ところで、決算書はいろいろな場面で必要になりますけど、その中の一つにお金を借りるときがあります。私の会社はこんなに良い会社なので、ぜひ融資してください!という感じで、決算書などを見せながら説明します。

 このとき注意しないといけないことがあります。と言うのは・・・

 経営者(起業家)にとっての良い決算 = 銀行にとっての良い決算とは限らないことなんです。そのため、起業家は銀行がどのようにして決算書を見て、融資の可否判断を行っているのか、知っておく必要があります。つまり、銀行が行う財務分析を知ることは起業成功のキーポイントです。



銀行が重要視する決算書の中身とは・・・


 銀行は仕事柄、基本的に決算書はネガティブに見るんです。とは言っても、今の銀行は独自のスコアリングモデルを持っていて、ほぼ機械的に決算書を分析、点数化しています。属人的にならないために。

具体的には、以下のとおりです。

 決算書に書かれてある科目を使って、いわゆる財務指標(何とか比率っていうやつです)を算出します。各財務指標にはそれぞれ点数が配分されているので、配点します。そして、この合計点に応じて、融資可否、利率が決まります。

 もし、融資可否のボーダーライン上の点数になった場合は、その企業の技術力、組織力など(知的資産ですね)を判断して、加点するケースもありますよ。

 であれば、普通こう考えますよね。配点の高い財務指標を良くしていけば効率的だ!
おっしゃる通りです。ただし、ここで問題が・・・

 財務指標ごとの配点は各銀行によって違うし、何より公表していません。では、どうすればいいんでしょうか?

 実は、銀行が行っている決算書の分析は金融庁の金融検査マニュアルに沿って実施されているので、ある程度予想はできます。



覚えておきたい決算書の科目は5つ


 金融検査マニュアルでは、「債務者区分は、債務者の実体的な財務内容、資金繰り、収益力等により、その返済能力を検討し・・・」と書かれています。

 つまり、決算書から財務内容・資金繰り・収益力を見極めなさいって言ってるんです。

 財務内容 → 自己資本比率、有利子負債自己資本比率
 資金繰り → 債務償還年数、利払い能力
 収益力 → 総資本営業利益率、売上高営業利益率

 おそらく、このあたりが重要な財務指標になると思います。それぞれの算出式は以下の通りです。

 自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産
 有利子負債自己資本比率 = 有利子負債 ÷ 自己資本
 債務償還年数 = 有利子負債 ÷ (当期純利益+減価償却費)
 利払い能力 = (営業利益+受取利息) ÷ 支払利息

 これらの算出式から、重要な科目は・・・

 自己資本(↑)、総資産(↓)、有利子負債(↓)、営業利益(↑)、支払利息(↓)
であることがわかります。(矢印は、多いほど良い、少ないほど良いを示しています)

 起業家は、これらの5科目を経営管理上の重要科目として認識しておくことをお勧めします。



決算処理中に押さえておくとポイント


 せっかく作った良い決算書であっても、ついつい銀行が気にしてしまう科目があるんです。

・貸付金
 この科目は決算書上に存在するだけで怪しまれるんです。と言うのも、営業活動上よっぽどのことがなければ、貸付金なんて発生しませんよね。不良債権を隠しているのでは??って思われてしまうんです。特に毎期、金額も全く変わらないような貸付金科目は100%不良債権だと判断されます。

・役員貸付金、役員借入金
 特に起業間もない会社のような規模の小さな会社は社長の財布=会社の財布ってことがよくあると思うんです。だから、これらの科目もよく登場しますが、意味合いは全く逆なんです。当然、銀行が格付する上でも、評価は正反対です。

 まず、役員貸付金ですが、これも不良債権と判断される可能性があります。最悪なのは、私的流用を疑われることなんです。コンプライアンスに対する懸念はもちろん、放漫経営が原因の倒産なんてシナリオまで銀行は考えるんです。

 一方、役員借入金はプラス面が大きいです。借入金ですから負債なんですが、実質的には資本金と判断してくれます。これは金融検査マニュアルにも「自己資本と考えていいですよ」ってバッチリ記載されています。

 だとすれば、B/Sを作るときに役員からの借入金がある場合、長期借入金などの借入金科目に入れ込むのではなく、役員借入金の科目を独立させて記載するのが得策ですね。

 銀行は基本的に疑ってくるので、貸付金や役員貸付金があっても、正当な理由をきっちりと説明するように心がけましょう。




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