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決算処理-連結決算の概要 [決算-連結決算]

 上場会社の経理を目指す場合、連結決算は避けては通れない項目だと思います。今回は連結決算の概要について考えてみたいと思います。

1. 連結財務諸表とは

 連結財務諸表とは、複数の企業から構成される企業グループの財政状態、経営成績などを総合的に表示するために作成される財務諸表のことです。


 大企業では親会社と子会社や孫会社など支配従属関係のある会社から構成される企業グループで事業活動を行っていることが一般的です。
 20180228連結決算.jpg
 例えば、製造業の企業グループであれば、子会社が製品を製造し、親会社が販売を行っているケースなどがあります。また、販売子会社を地域別に展開し、親会社が全国を統括するという管理形態の企業グループもあります。金融業であれば、銀行や信託銀行、証券会社などの子会社を親会社の持株会社が総合的に管理している企業グループなどがあります。また国際的な企業グループでは国別に子会社を置き、親会社が統括しているようなケースもあります。
 このように企業グループで事業活動を行っている場合には、各企業単独の財政状態や経営成績を開示する個別財務諸表では情報量が限定され、企業グループ全体の経営の実態を把握することができません。この点、企業グループ全体の財政状態や経営成績を報告できる連結財務諸表が重要な意義を持ってくるようになります。

2. 連結貸借対照表作成の基本

 連結貸借対照表は企業グループの期末時点の資産、負債、純資産の状況を表示するために作成します。
 20180228連結決算2.jpg

 連結手続①
 (合算について)
 連結貸借対照表の作成は、親会社と子会社の貸借対照表を合算することから始まります。例えば親会社が販売、子会社が製造を担当している企業グループでは、合算によって、販売による売掛金、製品や原材料の在庫及び製造設備である工場等の建物・設備などが資産として計上され、企業グループ全体で製品の製造・販売を行っている経営の実態を財務諸表に反映することができます。

 (相殺消去について)
 親会社と子会社の貸借対照表を合算した後に、親会社の貸借対照表と子会社の貸借対照表で重複している取引などを相殺消去します。親会社の出資により設立された子会社であれば、親会社で計上している子会社への投資額(600)と子会社で計上されていた純資産(600)を消去します。
投資と資本の消去に関しては、本解説シリーズの第2回で詳細に解説します。

3. 連結損益計算書作成の基本

 連結損益計算書は企業グループの一定期間の売上や費用、損益の状況を表示するために作成します。
 20180228連結決算3.jpg

 連結手続②
 (合算について)
 連結損益計算書の作成も親会社と子会社の損益計算書を合算することから始まります。例えば、親会社が販売、子会社が製造を担当している企業グループでは、合算によって販売会社による売上と製造会社による売上原価が収益・費用に計上されます。

 (相殺消去について)
 親会社と子会社の損益計算書を合算した後、親会社の損益計算書と子会社の損益計算書で重複している取引などを消去します。相殺消去の対象となるのは、企業グループ単位で内部取引に該当する取引などであり、【図1-3】では子会社の親会社への売上(1,000)と親会社の売上原価(1,000)が相殺消去の対象となる取引になります。
 
4. 連結財務諸表作成の流れ

 連結貸借対照表や連結損益計算書などの連結財務諸表作成の流れを整理すると、【図1-4】のようになります。
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 連結財務諸表作成の流れ
 連結財務諸表は一般的に単純合算表、連結精算表を基に作成されます。
 連結財務諸表作成の第1段階では企業グループ各社の財務諸表を合算した単純合算表を作成します。次いで、第2段階として、投資と資本の消去や内部取引の消去、未実現利益の消去、のれんの償却などの連結仕訳と単純合算表を整理した連結精算表を作成します。
最後に第3段階として連結精算表に基づいて連結貸借対照表、連結損益計算書などの連結財務諸表を作成することになります。

 なお、連結財務諸表には、次のような種類があります。
 20180228連結決算5.jpg
  ※1例えば一事業年度(1年)や四半期会計期間(3カ月)など


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